電子定款を実際に作成する場合には何が必要なのでしょうか?
電子定款の作成に必要なものWindows対応パソコン
Adobe Acrobat 8.0 Standard
新製品のAdobe Acrobat 9が平成20年6月3日に発売されたため入手困難になりつつあります。電子署名プラグインソフト(法務省のサイトからダウンロード) 0円
公的個人認証サービス(市区町村から取得) 1000円
ICカードリーダ(アマゾン等購入)
利用者クライアントソフト(公的個人認証サービスポータルサイトからダウンロード) 0円
電子定款のオンライン申請システムの利用に必要なもの
パソコン(
WindowsVista は不可)
公的個人認証サービス(市区町村から取得)
ICカードリーダ
利用者クライアントソフト
Ver1(公的個人認証サービスポータルサイトからダウンロード)
法務省の提供するオンライン申請用ソフト類一式
上記の点で、注意していただく点は、まず、パソコンのOSがWindowsVistaだと、電子署名はできても、オンライン申請ができないことです。したがってWindowsXPのパソコンを用意する必要があります。
次に、市区町村で公的認証カードを取得すると、利用者クライアントソフトが入ったCDがいっしょにもらえます。しかし、法務省のオンライン申請システムが、この利用者クライアントソフトの最新バージョン(Ver2.2)に対応していないため、公的個人認証サービスのサイト(
http://www.jpki.go.jp/)から、Ver1をダウンロードし、インストールする必要があります。
つまり、
WindowsXPのパソコンを用意し、利用者クライアントソフトの最新版(Ver2.2)をインストールせず、代わりにダウンロードしたVer1をパソコンにインストールしておく必要があります。電子定款作成の具体的手順Action1 Wordで定款を作成するまず、法務局のサイト(
http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/11-1.html)から、申請書様式をダウンロードします。一番シンプルな取締役が一人の株式会社の発起設立の場合は、「01-1株式会社設立登記申請書(取締役が1人の株式会社の発起設立)」を選択して、「Word」をクリックしてダウンロードします。ダウンロードしたファイルを開くと、申請書類が一式表示されます。○○商事の定款の記載例がありますから、ここをご自分の会社に合わせて修正し、定款部分だけを別ファイルに保存します。
ここでは、タックスデザイン株式会社の定款を実際に作成してみます。
商号 タックスデザイン株式会社
本店所在地 東京都杉並区高円寺南4丁目27番17号 恒陽サンクレスト高円寺404
発起人 若原秀光
発起人住所 東京都杉並区高円寺西1丁目1番1号
設立時取締役 若原秀光
会社設立予定日 平成20年7月7日
資本金 100万円(一株10万円として、10株発行)
発行可能株式総数 1,000株(この場合は10株以上なら何株でもOK)
事業年度 自7月1日 至6月30日(通常1年間にします)
タックスデザイン株式会社定款
第1章 総 則(商号)
第1条 当会社は,
タックスデザイン株式会社と称する。
(注)商号及び本店が同一の会社が既に存在する場合には設立の登記をすることができませんので,定款の認証を受ける前に,本店を管轄する登記所でそのような会社の有無を必ず確認してください。調査は,無料でできます。 (目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1 一般企業の財務書類の調整
2 一般企業の財務に関する調査及び立案
3 一般企業の会計事務の代行
4 企業経営に関する助言、指導及び研究
5 税理士の委託による会計事務の処理6 前各号に附帯する一切の事業
(本店の所在地)
第3条 当会社は,本店を
東京都杉並区に置く。
(注)定款に定める本店所在場所は最小行政区画まででも構いません。ただし,その場合には,発起人の過半数により,「○丁目○番○号」まで含んだ本店の所在場所を決定しなければなりません。(公告の方法)
第4条 当会社の公告は,官報に掲載してする。
第2章 株 式(発行可能株式総数)
第5条 当会社の発行する株式の総数は,
1,000株とする。
(株式の譲渡制限)
第6条 当会社の株式を譲渡するには、当会社の承認を受けなければならない。
(株主名簿記載事項の記載又は記録の請求)
第7条 当会社の株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求するには,株式取得者とその取得した株式の株主として株主名簿に記載され,若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人が当会社所定の書式による請求書に署名又は記名押印し,共同して請求しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令に定める場合には,株式取得者が単独で株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することができる。
(質権の登録及び信託財産の表示)
第8条 当会社の株式につき質権の登録又は信託財産の表示を請求するには,当会社所定の書式による請求書に記名押印し,これを提出しなければならない。その登録又は表示の抹消についても,同様とする。
(手数料)
第9条 前2条に定める請求をする場合には,当会社所定の手数料を支払わなければならない。
(基準日)
第10条 当会社は,毎事業年度末日の最終株主名簿に記載された議決権を有する株主(以下,「基準日株主」という。)をもって,その事業年度に関する定時株主総会において権利行使すべき株主とする。ただし,当該基準日株主の権利を害しない場合には,当会社は,基準日後に,募集株式の発行,合併,株式交換又は吸収分割等により株式を取得した者の全部又は一部を,当該定時株主総会において権利を行使することができる株主と定めることができる。
2 前項のほか,株主又は質権者として権利を行使すべき者を確定するため必要があるときは,取締役の決定により,臨時に基準日を定めることができる。ただし,この場合には,その日を2週間前までに公告するものとする。
(株主の住所等の届出)
第11条 当会社の株主及び登録された質権者又はその法定代理人若しくは代表者は,当会社所定の書式により,その氏名,住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。届出事項に変更が生じた場合における,その事項についても同様とする。
(募集株式の発行)
第12条 募集株式の発行に必要な事項の決定は株主総会の特別決議によってする。
第3章 株主総会(招集)
第13条 当会社の定時株主総会は,事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し,臨時総会は,その必要がある場合に随時これを招集する。
2 株主総会を招集するには,会日より1週間前までに,株主に対して招集通知を発するものとする。
(議長)
第14条 株主総会の議長は,社長がこれにあたる。社長に事故があるときは,あらかじめ社長の定めた順序により他の取締役がこれに代わる。
(決議)
第15条 株主総会の決議は,法令又は定款に別段の定めがある場合のほか,出席した議決権のある株主の議決権の過半数をもって決する。
2 会社法第309条第2項に定める決議は,議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
(議決権の代理行使)
第16条 株主又はその法定代理人は,当会社の議決権を有する株主又は親族を代理人として,議決権を行使することができる。ただし,この場合には,総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。
第4章 取締役
(取締役の員数)
第17条 当会社の取締役は
1名以上とする。
(取締役の選任)
第18条 当会社の取締役は,株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の数の3分の1以上の議決権を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については,累積投票によらないものとする。
(取締役の任期)
第19条 取締役の任期はその選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までとする。
2 補欠又は増員により選任された取締役は,他の取締役の任期の残存期間と同一とする。
(
代表取締役及び社長)
第20条 当会社に取締役を複数名置く場合は、取締役の互選により代表取締役1名を定め、代表取締役をもって社長とする。
2 当会社におく取締役が1名の場合は、その取締役を社長とする。
3 社長は、当会社を代表する。(報酬及び退職慰労金)
第21条 取締役の報酬及び退職慰労金はそれぞれ株主総会の決議をもって定める。
第5章 計 算(事業年度)
第22条 当会社の事業年度は年1期とし,
毎年7月1日から翌年6月30日までとする。
(剰余金の配当)
第23条 剰余金は,毎事業年度末日現在における株主名簿に記載された株主又は質権者に配当する。
第24条 当会社が,株主に対し,剰余金の支払いの提供をしてから満3年を経過したときは,当会社はその支払いの義務を免れるものとする。
第6章 附 則(設立に際して出資される財産の価額)
第25条 当会社の設立に際して出資される財産の最低額は,
金100万円とする。
(最初の事業年度)
第26条 当会社の第1期の事業年度は,当会社成立の日から
平成21年6月30日までとする。
(発起人)
第27条 発起人の氏名,住所及び発起人が設立に際して引き受けた株式数は,次のとおりである。
東京都杉並区高円寺西1丁目1番1号 若原秀光
普通株式 10株 (注)発起人の引受株式数の記載が定款にあるときは,会社法第32条第1項第1号の事項に係る発起人の同意書を申請書に添付する必要はありません。この場合,申請書には,「○○は定款の記載を援用する。」と記載してください。(
設立時取締役及び設立時代表取締役)
第28条 当会社の設立時取締役及び設立時代表取締役は次の通りとする。
設立時取締役 若原秀光
設立時代表取締役 若原秀光
(定款に定めのない事項)
第29条 本定款に定めのない事項については、すべて会社法その他の法令の定めるところによる。
以上,タックスデザイン株式会社の設立に際し,発起人若原秀光は、電磁的記録である本定款を作成し、電子署名する。
平成20年7月1日
発起人 若原秀光法務省のサイトからダウンロードした定款を若干修正しています。グリーンの修正が、法務省のサンプルから変更した部分ですが、この場合はそれほど多くありません。
Action2 公証役場に電話して、定款をファックスする定款の下書きが出来上がったら、お近くの公証役場(
http://www.koshonin.gr.jp/index2.html)に電話して、会社を設立するに際して、定款の電子認証を受けたい旨伝えます。すると公証役場から、定款をチェックしたいので、ファックスするように言われるはずです。なんともアナログな感じですが、ファックスすると公証役場の事前チェックが受けらますので、安心です。この際に、公証役場から、公証人が指定され、オンライン申請の予定日を訊かれ、申請が終わったら公証役場に電話するように言われます。
公証役場のやり取りを終えたら、いよいよ電子署名の付与と、オンライン申請です。
Action3 電子署名の付与この作業は、基本的にパソコンの操作の問題です。手順は以下の通りです。
1 Windowsを使用するログオンユーザー名が半角英数文字であるか確認する
2 ICカードリーダをパソコンに接続する
3 法務省のオンライン申請システムにアクセスし、JRE等の事前準備を、パソコンに行う
@ 法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/)左側にあるメューから[オンライン申請]をクリックする。
A <オンライン申請システムのご案内>のページにある[ご利用方法]をクリックする。
B <ご利用方法>ページにある[ご利用環境]の項を読んだ上で[事前準備]の項を読み、以下の事前に行うべき準備作業をする。
@ )「事前準備 操作ガイド」のダウンロード
A )安全な通信を行うために必要な証明書の取得/登録
B )JREのインストール
C )オンライン申請に必要なプログラム環境とインストーラのインストール
4 利用者クライアントソフトVer1を公的個人認証サービスポータルサイトからダウンロードし、パソコンにインストールする
5 インストールした利用者クライアントソフト(公的個人認証サービス)を起動し、ユーティリティで「ICカードリーダライタの設定」と「Java実行環境の登録」を行う
6 Adobe Acrobat 8.0 Standardをインストールする
7 法務省のサイトからPDF署名プラグインソフト(SignedPDF)をダウンロードし、パソコンにインストールする。
8 Wordを立ち上げ、定款をPDFに変換する。
9 PDF形式の定款を開き、Adobe Acrobat 8.0で定款に電子署名する。なお、ファイル名は任意ですが、半角英数文字で31文字以内(拡張子は除く)にします。Action4 オンライン申請1 法務省のオンライン申請サイトにアクセスし、申請者IDを取得し、オンライン申請を行う。
2 公証役場に電話し、オンライン申請した旨伝える。
Action 5 公証役場に行って認証を受ける公証役場に出向き、公証人に認証をしてもらいます。認証後、会社保存用と法務局提出用に紙の謄本を二通取得します。
公証役場に持参するもの
1 発起人全員分の印鑑証明書
2 認証費用(52000円)
3 電子定款を保存する空のフロッピーディスク等の記録媒体
4 委任状+定款見本(発起人が複数いて、定款作成代理人一人が公証役場に出向く場合)
5 複委任状(4の場合で、かつ定款作成代理人ではない別の発起人が公証役場に出向く場合)以上で、電子定款の作成は完了です。なお法務局への会社設立登記申請には、公証役場で取得した紙の謄本一通を添付します。FD等に記録された電子定款は、法務局に提出する必要はありません。