その際、年齢と所得の種類によって所得税等の金額が異なってきますと記載しました。所得の種類についてもう少し詳しく説明します。
例えば、同じ300万円の収入でも、給与なのか、年金なのかで、所得金額は異なります。所得税法では、所得を10種類に区分しています。給与ならば給与所得、年金ならば雑所得に区分されます。
給与の場合
給与として収入を得ている場合、所得金額は原則的に次のように計算します。
給与所得の金額 = 収入金額 − 給与所得控除額
例えば年収300万円のサラリーマンの場合、300万円(収入金額)−108万円(給与所得控除額)=192万円(所得金額)となり、年収200万円の場合は、200万円(収入金額)−78万円(給与所得控除額)=122万円となります。
年金の場合
年金とて収入を得ている場合、所得金額は、
公的年金等雑所得の金額 = 収入金額 − 公的年金等控除額
として計算します。公的年金等控除額は、65歳以上と65歳未満で金額が異なります。
例えば年間300万円の年金を得ている80歳の高齢者の場合、300万円(収入金額)−120万円(公的年金等控除額)=180万円(所得金額)となり、年金200万円の場合では、200万円(収入金額)−120万円(公的年金等控除額)=80万円(所得金額)となります。
つまり、同じ年収でも、所得金額は、所得の種類によって異なります。所得金額をもとに税金は計算されるので、収入が同じでも、所得税、住民税の金額に差がでます。国民健康保険の保険料は、東京都の場合、住民税をもとに計算されるので、所得金額で差が生じるわけです。
給与と年金だけ比較すると、いい悪いは別にして、明らかに年金の方が、税制面では優遇されています。
一方、個人事業主の場合は、所得の種類は事業所得です。総収入金額−必要経費=事業所得金額 として計算します。会社法の改正で、会社設立が容易になりました。自分で会社を設立し、会社から役員給与の支給をうければ、その収入は給与所得になります。
廃業する場合でも、個人事業主が自分に退職金を支給してもそれは必要経費になりませんが、法人が退職する役員に退職金を支給すれば、適正額までは退職金として損金に算入できます。その上、退職金は、給与等に比べて税制上、はるかに優遇されています。
税の世界は複雑です。税金の悩みは一度、税理士に相談されることをお勧めします。