2011年04月05日

り災証明書とは

東日本大震災で被害にあわれた方々に対して、罹災証明書の申請受付をはじめた市町村もあります。


罹災証明書は、申請に基づき、各市町村が証明書を発行します。


罹災証明書は、税務でも関連してきます。まず罹災証明書は、法律や条例に規定はありません。「防災に関する市町村の事務」(地方自治法2条)を採用し、災害対策の一環として位置づけ事実行為として発行されるものです。


各市町村の名称も統一したものでなく(阪神・淡路大震災でも罹災証明書と被災証明書の2種類の呼び方がありました)、様式もさまざまだったとの事です。


罹災証明書は、被災者生活再建支援法に基づく支援金や義援金、税金・国民健康保険料・公共料金等の減免、公共住宅への入居、雇用奨励金、解体費の公費負担、災害復旧資金の融資の申請に必要になるほか、民間の被災者救済基準などにも利用されます。


罹災証明書は、被災者からの申請に基づき、市町村が調査を行った上で発行されますが、証明の内容で混乱を生じました。


罹災程度の判定が、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊、というわかりくい判定なので、トラブルが生じることになります。



現実には、職員が行った判定の差で、支援金の有無や税務上の軽減措置が明暗を分けるため、その判定に納得がいかない場合、積極的に再調査等の申し出を行うことが必要になります。


下記に内閣府の阪神・淡路大震災の教訓情報資料集の一部を記載しておきます。



内閣府の阪神・淡路大震災教訓情報資料集より

第2期・被災地応急対応(地震発生後4日〜3週間)

2-03.被害把握・り災証明

【01】被害調査


01.各市では、1月下旬に入って、建物被害調査を実施した。調査は市職員が中心となり、政府通達「被害認定統一基準」に従って行われたものが多かった。

01) 各市では、1月下旬に入って、建物被害調査を実施した。

02) 調査は市職員が中心となり、政府通達「被害認定統一基準」に従って行われたものが多かったが、芦屋市のように独自に判定基準を策定した例もあった。

03) 初期に集中的な調査を行わなかったり、申請についてのみ調査するとした自治体では、調査が混乱したり長期化した。初期に短期間で行った調査が有効に活用された自治体もある。


02.被害調査の結果は、住宅地図にまとめられた。コンピュータによる被災者台帳の作成が行われたところもあった。

01) 被害調査の結果は、住宅地図にまとめられた。

02) コンピュータによる被災者台帳の作成が行われたところもあった。


03.初期の被害調査は外観目視による調査が中心で、それぞれ独自の調査票が用いられ、調査員の主観によるところも大きかった。税の減免を行うため、再度全戸調査を実施した自治体もあった。

01) 初期の被害調査は外観目視による調査が中心で、明確な判断基準がなく、調査員の主観によるところも大きかった。家主と借家人の関係がトラブルのもとになることもあった。

02) り災証明書の判定を不服とする再調査の申請が相次ぎ、再調査は長期間にわたり続けられた。固定資産税・都市計画税の減免を行うため、家屋及び家財の全戸被害調査を実施した自治体もあった。

03) 住宅だけでなく、商工関係の被害把握も必要だった。政府系中小企業金融機関が行う災害特別貸付についても市町村長の発行する被害証明書または特別被害証明書が必要とされた。


04.24万棟を越える未曾有の建物被害を前に各市町とも極めて厳しい条件の中で、被害の認定作業がすすめられた。

01) 24万棟を越える未曾有の建物被害を前に、時間と人手が足りない、専門的知識が不足しているなど、各市町とも極めて厳しい条件の中で、自らも被災者であった行政職員や、建築・法律の専門家ボランティアの努力によって、被害認定作業が進められた。

02) 被災市町間に、調査方法等による建物の被害認定の差があった可能性が指摘されている。


【02】り災証明書の発行

01.1月下旬に入った頃から、市民からの要望に応える形で、各市においてり災証明書などの発行が行われた。証明書の法的位置づけについて急きょ検討した上で発行した自治体もあった。

01) 市民からの要望が大きかったため、各市において震災による被災を証明する証明書が発行された。

02) り災証明(被災証明)の法的位置づけについて、急きょ検討した上で発行した自治体もあった。


02.り災証明書の発行窓口には、市民が長蛇の列をなした。発行手続き事務量は膨大だった。発行された証明書は、各市によってバラバラだった。複数の種類の証明書を発行した自治体もあった。

01) り災証明書の発行窓口には、市民が長蛇の列をなした。

02) 発行された証明書は、各市によってまちまちだった。複数の種類の証明書を発行した自治体もあったが、その区別が混同される場面もあった。


03.り災証明は、各種の公的救済措置のほか、民間の被災者救済基準にもなった。一方で、自治体が全壊と認定した戸数は、建設省建築研究所が行った調査結果と比較して多かったとの指摘もある。

01) り災証明は、各種の公的救済措置の基準となっただけでなく、民間の被災者救済基準にもなった。

02) 自治体が全壊と認定した戸数は、建設省建築研究所が行った調査結果と比較して多かったとの指摘もある。
posted by WAKAHARA at 11:52| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 税務のワンポイント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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