シングルマザーが訴える税制の不公平さって?
寡婦控除 非婚者は対象外
「子育て負担軽減」趣旨に矛盾
という解説記事が載っていた。
前段として、毎日新聞によると、
寡婦控除:未婚の母子家庭にも適用を 母3人が人権救済申し立て
所得税法上の「寡婦控除」が受けられないのは人権侵害だとして、非婚の母子家庭の母親3人が17日、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。寡婦控除を巡る申し立ては初めて。寡婦控除は、夫と死別か離別した人で、子どもや扶養親族がいる場合などに適用され、年間所得から27万〜35万円を控除できるが、結婚歴がなければ適用外。
という申立てがあったそうだ。
寡婦控除は、もともと戦争で夫を失い、家族を抱えて生活が苦しくなった女性を救うのが主な目的で、1951年に設けられた制度との事である。
この制度趣旨から考えると、未婚の母子家庭にも寡婦控除の適用を、との主張より、歴史的使命を終えた寡婦控除の廃止を主張すべきかと思うがいかがだろうか。
というのも、母子家庭のほかにも、世の中には父子家庭もあるし、共働きでも極貧の世帯もある。税金というお金の問題なのだから、収入の多寡を基準に、税制を考えるべきである。
さらに、高齢化社会が進んでいるのに、いまどき、
夫と死別したおばあさんと、妻と死別したおじいさんとを、税金が異なる。
・・・なぜ? 男の方が平均寿命が短いのに・・・。それなら、男女で社会保険料等の金額もかえるべきでは・・・。
子育てに関するお金の話なら、子ども手当を支給するという以上、民主党のマニフェストどおり、「相対的に高所得者に有利な所得控除から、中・低所得者に有利な手当などへ切り替える」べきである。
寡婦控除と、寡夫控除の微妙な違い・・・
(参考)国税庁のタックスアンサーより
寡婦控除は、女性の納税者が所得税法上の寡婦に当てはまる場合に受けられる所得控除です。控除できる金額は27万円、特定の寡婦に該当する場合には35万円です。
<寡婦の要件>
寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人です。
(1) 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
(2) 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などのは要件はありません。
<特定の寡婦>
寡婦に該当する方が次の要件のすべてを満たすときは、特定の寡婦に該当し、寡婦控除の額を27万円に8万円を加算した35万円とする特例があります。
(1) 夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
(2) 扶養親族である子がいる人
(3) 合計所得金額が500万円以下であること。
寡夫控除は、男性の納税者が所得税法上の寡夫に当てはまる場合に受けられる所得控除です。控除できる金額は27万円です。
<寡夫の要件>
寡夫とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1) 合計所得金額が500万円以下であること。
(2) 妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
(3) 生計を一にする子がいること。
この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
税理士の若原です。
未婚の母子家庭と、離婚の母子家庭では、保育料、公営住宅の賃料についても、住民税額を基準に算定している自治体なら、寡婦控除の有無により違いがでるでしょう。
しかし、そもそも国民健康保険料、保育料等は、住んでる自治体が違えば、同じ収入でも、負担はまったく異なる不平等な世界です。
未婚の母子家庭の方が、寡婦控除の拡大を求めるのは心情としては理解できますが、寡婦控除の拡大でなく、寡婦控除の廃止の主張の方が、寡婦控除自体の不平等性から考えれば、より「人権救済」になるかと思います。
扶養控除等廃止の影響で、今後、自治体には苦情が殺到するかと思います。ただ結局は、高邁な人権の問題というより、だれにコストを負担させるかというババ抜きの問題なので、負担だけを押し付けられないように自衛するしかありません。
…書いてて何ですが、いやな現実ですね。
理由は、死別した女性の場合、遺族年金が非課税であるにも関わらず、課税所得に対しては扶養しんぞくがいなくても控除までとれてしまい不公平さを感じています。