さて、あまり税理士とはクロスしないが、国民年金には免除制度がある。
たまに、その手の相談を受ける場合もある。本来、税理士の業務でないのだが、個人事業主から質問されれば、調べないわけにもいかない。
今回は、継続されてきた国民年金の全額免除が、該当しないとして却下されたという、クライアントの友人の話だった。
(私は、社労士ではないので、相談されても困るのですが・・・)
国民年金の全額免除を申請する場合、所得が下記の範囲であることが必要である。
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
例:単身世帯の場合57万円まで
そこで申告内容を聞くと、若干基準をオーバーしているのがわかった。この基準に当てはめると、全額免除は無理。
ただし、クライアントの友人の場合、今年になってから、また子どもが生まれたそうなので、扶養家族が1人増えている。現時点で判断すると、35万円分基準が上がっているはずだが、社会保険庁のサイトを読んでもよく分からない。
救済のための免除制度だから、現状で判断していても良さそうなものだが・・・。
社労士ではないし、事務所に詳しい参考書籍もないので、所轄の社会保険事務所に電話をして、質問してみた。
社会保険事務所によると、あくまで昨年の所得で計算するので、今年になってから扶養親族が増えていたとしても、それが反映されるのは、来年の免除申請分からとの回答であった。
今、現在、新しい子どもが生まれて生活に困窮しているから、国民年金の免除申請をしているのに、去年は生まれていなかったから、免除は来年まで待てというのは、免除の制度趣旨から外れてはいないか?
確かに、退職(失業)による特例もあるが、自営業の場合はおそらく該当しないだろう(廃業して廃業届を出せばいいのかもしれないが・・・)。
こういった細かな点も、民主党政権の長妻厚生労働大臣には是非改善してもらいたいものである。
と、ここまで、現状の免除基準に文句をいってみたが、正直、免除基準に所得を使うこと自体がどうかと思う。
全額免除の基準は、上述のとおり、
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
で、単身世帯なら57万円までと、社会保険庁のサイトには例示してある。
この所得57万円という金額は、白色申告の個人事業主なら、収入−必要経費 = 所得 という単純明快な話である。
クロヨンとか、トウゴウサンだから、それで良いなどと、世のサラリーマンは主張するかもしれないが、そこそこ利益が出ている自営業者は、我々が入知恵して、会社設立をし、給与所得者に変身してもらって、税制の恩恵を受けている。
国民年金がそもそも自営業者用ということを考えると、扶養親族1人あたり35万円などという基準では、本当に困ってる人間は免除にならないのでないか。
だいたい57万円の単身世帯が、どうやって年金を支払えるというのか?
衣食住にも困る金額ではないか。
・・・さて、前述の全額免除が却下された方だが、青色申告との話だった。貸借対照表も作成しているらしいから、65万円の青色申告特別控除も適用。
ついでに、家族が事業を手伝っているので、給与所得控除も活用しているらしい。
つまり、国民年金の免除の基準となる「所得」を減らすキャッシュの流出のない控除が、毎月10万円以上になっているらしい。
(もっとも、あくまでこれは伝聞だから、本当にその友人が存在しているかも不明の話です。誤解のないように!)
健康保険の被扶養者の認定基準には、年収を使っているくせに、何で、こちらは所得なんでしょうね?
結局、所得の意味など分からない社会保険庁の役人が、国民年金の免除基準に「所得」などを使って、楽をしようとするから、矛盾だらけの基準になるのではないかと、思った。
ラベル:国民年金 免除